サブバッテリー電源の構築



たまに行く建設現場で、事務所や休憩所代わりに車内を利用することがあり、スマ
ホやノートPCへの給電を考えていました。最初は車に付いているシガーソケットや
AC100Vコンセントを利用していましたが、現場ルールでエンジンを掛けたまま駐車
出来ないことが多々あり、サブバッテリーを設置することとしました。

最初に買ったジャンプスターターです。DC電源(シガーソケット)の他にエンジン
始動クリップ、エアーコンプレッサ、照明機能が1バックになっています。
ただ主目的はDC電源ですので、他の機能は不要だったんですが、安価でコンパクト
だったので(^▽^;)

このタイプはOEMの様で色々なメーカーから出ている感じです。

ちなみに、これはSIS株式会社から販売されている中華品です。

【仕様】
 サイズ     336x186x314mm
 充電用電源   AC100V 50/60Hzまたは、DC12V
 照明消費電力  6W(3Wx2)
 重量      約7kg
 材質      ABS樹脂
 最大出力    900A
 最大空気圧   300PSI
 バッテリー容量 13Ah(20H)

【説明書より一部抜粋】

◆エンジンスターター機能
 最大900A/スタート時は400A出力
 1800cc以下の車の始動・充電が可能
 自分の車は3500cc、試してみたら何も反応が… 無理だったみたいです。バイク
 とかならかかるカモ?

◆ポータブル電源機能
 DC12Vで最大50時間の出力が可能

 検証してみました。
 シールドバッテリーの容量は20時間率表示となります。
 内蔵バッテリーは、13Ah(20H)ですので、1Aの負荷を20時間使える容量です。
 説明書にある50時間使えると言う負荷は、0.25A(3W)の負荷になります。

◆エアーコンプレッサー
 最大空気圧 300PSI(≒2,069kPa)
 10分以上の連続運転は禁止。10分休めて再運転をすること。

外装がABS樹脂製で成形は雑な面があり、嵌合箇所も隙間が出来ています。良く言
えば通気性は良さそうです(^^ゞ ただ、静電気を常時帯びている感じで、床に置
くと周囲のゴミが外装に吸着されます(^▽^;)

ブースターケーブルは、内部のバッテリーに直付となっていて、電源スイッチに 
関係なく常時クリップに電圧がかかっています。短絡させると危険です。一応ヒ 
ューズは付いていますが・・・高容量のスイッチを別置するか、不要であれば外 
してしまうのが良いと思います。既に使用されている方のクチコミでも外されて 
いる方が多かったです。使えないものがあっても危険なだけなので外すことにしま
した。

操作面のレイアウトです。上段にパワースイッ
チが4つ配置されていて右から主電源スイッチ
照明スイッチ、コンプレッサースイッチ、シガ
ーソケット出力スイッチです。

中段は、エアー圧力計、保護ヒューズ、内蔵バ
ッテリー状態表示LED、充電ジャックです。

下段は、シガーソケットが3つありそれぞれ防
塵カバーが付属しています。なお耐熱仕様品で
はないので、シガーライターは装着は出来ませ
ん。
背面上部にはコンプレッサー排熱用のスリット
がついています。下部は蓋付きの収納部があり
エアーホースや充電ケーブル等が収納されてい
ます。

収納スペースは内寸180x103x58mmです。

内部機器の紹介 B5ノートパソコンの接続を考える
B5ノートパソコンを接続してみて 市販充電器からの充電
バッテリー電圧の見える化 収納ケースの製作(おまけ)
携帯などへの充電    



初回購入の上記ポータブル電源を使用してみて、スマホなどの充電用途には良かっ
たんですが、ノートPCのバッテリー残量がゼロからの接続では電圧降下が著しく電
源として使えませんでしたTT

このことからハイパワー電源ユニットを製作してみました♪
バッテリーだけを購入してその他のパーツはポータブル電源ユニットを再利用する
ことにして安価に性能向上を図ることにしました。

通常外部バッテリーと言えばディープサイクル
バッテリーの使用が一般的ですが大きく高価な
ので、今回はお試し感覚で流通量が多く安価な
軽自動車用バッテリー40B19を選択しました。
Amazonで3,000円以下でした(^^) 重さは8kgで
す。

バッテリーの製造年月(初回工場充電年月日)
は、2017年9月24日(この日から劣化が始まっ
ています)で、製造後1ヶ月程度のものでした

このバッテリーの容量は28Ah(5H)なので内蔵シ
ールドバッテリーと比べ同じ3Wの負荷で112時
間使えます(^^)/ 約2倍の容量です。

下記はバッテリーが届いた時点で予備充電を実
施した後の計測データです。

CCA 265A/330Aちょっと悪い感じが(^_^;)
※JIS規格バッテリーのCCA値は非公開です。
充電量 95%
内部抵抗 11.1mΩ
寿命度 96%(4%劣化)
電圧 12.84V
判定 良品

始動用としては使わないので性能的には問題無
いです(^^)
バッテリーに配線を接続する為のターミナルと
絶縁カバーを用意しました。

配線の脱着が簡単に出来る蝶ボルトタイプにし
ました。ネジ径は8mmです。

ターミナルは、バッテリーサイズによって異な
ります。今回は当然Bタイプ用を準備しました。
今まで付属していいたパーツを流用します。

内蔵シールドバッテリーは用済みなので撤去と
なります。

また両サイドの照明も暗くて使えないので撤去
します。
内蔵シールドバッテリーです。ディープサイク
ルバッテリーではありません。

今まで過負荷を強いられていたのか、ガスが噴
出した形跡が(^_^;)

6-FM-13 12V 13Ah/20h
今回の改造で不要となった箇所です。
外すと穴あきとなってしまうので、敢えてダミ
ーとして付けたままです(^^)

スイッチはメインスイッチとシガーソケット出
力スイッチのみとなったので、2つは予備とし
ました(^^)

圧力計は内蔵コンプレッサーのものですが、既
に撤去しているので以前からダミーです。

DCジャックは、内蔵バッテリーの充電端子だっ
たので今回から用途が無くなりダミーとなりま
した。
バッテリー容量表示回路はそのまま流用しまし
たが、接続配線が細いので内部の全ての配線を
太いものに変えました。

また不要な電源配線も撤去してスッキリさせま
した。
転倒防止と充電時のために箱を製作して収納し
ました。

バッテリーのサイドには、アングル材を付けて
あるので、隙間はありますが、左右に振れるこ
とはありません。

バッテリー残量が無くなったらケースごと持ち
出して充電します。今回はMF(メンテナンスフ
リー)バッテリーでは無いので、充電時は全て
のキャップを外すか緩める必要があります。

※水素ガス、腐食性ガスに注意



負荷電流が知りたかったので、電流計を追加するため今までの流用ケースは破棄し
てコンパクトにリニューアルしました(^^)
追加購入したのは、防水12Vシガーソケット(蓋が欲しかったので防水を選択)、
電流計(0.1〜20A)、電圧計(残量モニタ付)、ヒューズホルダー、配線(2sq)、
端子台、MDFボードです。
ロッカースイッチは、流用ケースから取外して再使用しました。

元々リニューアルを予測してケースを作ってい
ました(^^)

車内利用なので、全て平面配置としました。
電流計はアナログが良かったんですが、平面設
置用がなかなか見つからなかった為、デジタル
電流計にしました。

20A電流計は、シャント抵抗内蔵形なので、別
置する必要はありませんが接続がローサイドシ
ャント仕様(負荷の二次側に接続)でした。
最初知らずに負荷の一次側に接続したら壊れま
したTT

電圧計は、ボルト表示の他、バッテリーの残量
をカラーバーで表示してくれるタイプにしまし
た。
USBアダプタを経由してスマホを充電してみま
した(^^)

0.3A程度流れています(^^)

バッテリーもかなり放置状態ですが、まだ満充
電を維持している様でした(^^)



以前購入していたインバーターは矩形波と言う出力で、使用できる家電が制限され
るとのことで、正弦波インバーターに更新しました。正弦波を出力するインバータ
では殆どの家電が使えます(定格容量以内)。

今まて使っていたインバーターです。昔のもの
なので、周波数切替スイッチは付いていますが
「矩形波」インバーターで一言でいうなら家庭
コンセントの100Vと比べて周波数が「汚い」の
です。なので同じ100Vでも使える家電と使えな
い(動かない)家電が出て来ます。

矩形波インバーターで使える機器は、電球やAC
アダプタを介しての小型家電に限られ、特に扇
風機などの回転機器(モーター)には使用出来
ません。仮に回ってもインバーターに過大な負
荷を与えてしまい、インバーターが最悪焼損し
てしまうこともあるとか・・・

大自工業(メルテック)ファミリーインバータ
ー C-300 定格出力250W 
バッテリー直結時
400Wの「正弦波」インバーターを買いました。

正弦波タイプですが1万円以内で購入できるこ
とがわかり買ってみました。

これは出力が3WAY仕様でACコンセントの他、U
SBソケット(急速充電対応)、DC12Vシガーソ
ケットが付いていて便利そうです♪

定格出力が400Wなので、バッテリー直結で使い
ます。

瞬間最大出力は800Wと定格の倍ありますのでモ
ーターなどの始動時突入電力がある機器でも問
題なく使えそうです(^^)

正弦波なので、車中泊の時電気毛布も使えます



上の正弦波インバータ、バッテリーに接続する時、盛大にスパークするので中間ス
イッチをプラス配線の途中に入れ安全に接続できるようにしました。

オーム電機 袋打・平行線両用 スライド 中間
スイッチ 15A-250V 白 (04-8127) 1500Wまで

赤黒一緒に入れたかったんですが、純正配線が
5sqと太く2本は入りませんでした^^;

この中間スイッチは、2sqまでの配線用なので
プラス側ラインだけ入れました。端子への巻き
つけもムリムリなんとか^^;

ここをOFFにしておけば負荷がなくなるのでバ
ッテリーに接続する際にスパークは発生しませ
ん。
バッテリーに接続する時、インバータ内部の電
解コンデンサに充電が始まりますがその時大電
流が生じるためスパークが発生します。電解コ
ンデンサが満充電になると電気を流さなくなる
のでスパークしません。

スイッチを取付けるのが一番安全ですが、60W
の裸電球や20Ω/50Wのクラッド抵抗器をバッテ
リーのプラス端子とインバータのプラス端子の
間に30秒ほど接続することでゆっくり充電させ
ることができます。30秒ほど接続したら素早く
接続することでスパークを発生させずに接続で
きます。クラッド抵抗器の場合、両端に配線し
てワニ口クリップなどを付けておくと便利です

スパークキラー等の名称で市販もされています



(参考)配線の選択について
インバータとバッテリー間のケーブル(電線)サイズは、インバータの出力容量に
よって変わります。

この例を元にして計算してみましょう。
着目するのは購入したインバータの容量です。この場合の容量は400Wです。この数字はインバ
ータの定格となりますので、使える家電は400W以下でなければいけません。この時、接続する
家電が、ヒーターだったりモーターだったりする場合、スイッチをONにした時瞬間的に2倍近
い電流が流れます。これを突入電流と言います。通常のインバータは、この突入電流を考慮し
て製造されていることが多いので、定格以下で使用する場合、問題ないことが多いです。

インバータがMax400Wの出力をしている時、バッテリーとインバータ間のケーブルに流れる電
流は下の式から求めることができます。

I=W÷V Iは電流、Wは電力、Vは電圧を表しますので、W=400W、V=12Vとして流れる電流
33Aと言うことになります。結構流れますね^^;

ケーブルのサイズによって流せる電流の大きさが決まっています。KIV線を例にサイズ毎の許
容電流は下の通りとなります。

サイズ A(アンペア) 外径(mm)
1.25sq 19 3.1
2.0sq 27 3.4
3.5sq 37 4.1
5.5sq 49 5.1
8.0sq 61 6.1
14sq 88 7.7
22sq 115 10.2
38sq 162 12.7
60sq 217 15.2
100sq 298 17.5
150sq 395 19.5
200sq 469 24.0
250sq 556 27.0
325sq 650 29.0
400sq 745 33.0

33Aを流せる電線サイズは、3.5sqになります。
もしこの図のように250Wの家電しか使わないと限定できる場合は、I=250÷12から、21A流せれ
ば良いので、
2.0sqで良いことになります。

それではもう少し深堀して、この図のように250Wの投光器を使った場合、バッテリーはどのく
らいの時間持つのかを考えみましょう。

バッテリーサイズは軽自動車向けの40B19で考えて見ます。
お断りですが、計算を簡単にするため、インバータ効率とかは今回無視することにします。
このバッテリーの容量は5時間率で28Ahです。これは5.6A流した場合5時間持つと言うことにな
ります。(5.6Ax5h=28Ah)

このことから、投光器の電流は250W÷100V=2.5Aですから、11h位は持つ計算となります。し
かし実際このような極端な使い方をするとバッテリーの寿命に悪影響を及ぼすことになります
から、一般的には容量の60-70%で計算をします。よって実際には7h程度と言うことになります



軽自動車用バッテリーはあくまでもエンジン始動用なので、連続使用や繰り返し充
電では劣化が早まります。コストメリットが少ないので、ちゃんとした設備に変更
しました。

サブバッテリーとしては定番の
ACDelco Voyager M27MFにしました。

主に船舶やキャンピングカー用途のディープサ
イクルバッテリーです。

容量はPC充電用途としては余裕の105Ah/20hで
す。これまでと同様に3Wの負荷で考えると、
420時間使えます。

重さは約25kgありますが、可搬用取手が付属し
ているので、意外と楽に持てます。

端子が2つずつあるので、2系統に出力できます
※ディープサイクルバッテリーと言えども0Vまでは使えません。始動用バッテリ同様に10.5Vが
 下限電圧となります。
※ディープサイクルバッテリーの充電には高電圧充電器が必要です。一般の充電器だと8割程度
 までしか充電が出来ませんので、必ずディープサイクルバッテリーに対応した充電器が必要
 となります。
※充電時は有害腐食性ガスが出るためドアを開放するか、屋外での充電が推奨されています。
以前は400Wの容量でしたが、キリの良い500W
のインバータにしました。

板などに直接ネジで固定できます。
冷却ファンが付いていてアルミボディなので放
熱性も良さそうです。

中華製 LVYUAN(リョクエン)正弦波 500W
インバータ

AC100V x2 USB-A x2

効率は85%と普通ですね。

周波数は固定式の55Hzです。
一応オシロスコープで確認してみましたが、綺
麗な正弦波でした♪
インバータの付属品です。

12Vシガーソケット、バッテリー直結ケーブル

容量的にシガーソケットは推奨しません。
また直結ケーブルはとても短くまたクリップ部
も絶縁されていないため危険です。

今回はどちらも使用しないので^^;
バッテリーとインバータを直結するため、ケー
ブルを別途購入しました。

配線サイズはインバータの定格容量500Wより計
算します。

500W÷12V=42A これは定格の上限となります
電化製品に電気が流れ始めると突入電流が発生
しますので、1.3〜2倍を見ます。今回は2倍と
して84Aを想定して100A流せるケーブルを探し
ました。

BAL 大橋産業 ブースターケーブル 100A-3.5m
※クリップ部は使わないので廃棄しました。

最近のブースターケーブルはCCAと言う規格で
アルミ芯線の周りを銅線で巻いたケーブルなん
ですね。重量の緩和とコスト削減なんでしょう
か。でもメーカーも災害になってもらいたくな
いので100A記載は信じられると思います。

それに今回は瞬間電流でこのサイズにしている
ので定格運用であれば何の問題もありません。

ケーブルサイズはほぼ8sqでした。
バッテリーとインバータを接続すると、USBの
LEDが点灯したままになりました。USBポートに
は常時電気が来ている仕様みたいです。電流は
0.00073Aと微小でしたが、気分良くないですよ
ね。スイッチは単にAC電圧の出力用だと思いま
す。
バッテリーは蓋なしコンテナボックスに収納し
ました。底に塩ビのアングル材をバッテリーサ
イズより気持ち広く工業用両面テープで四方に
貼付けして、バッテリーが乗る面には滑り止め
ゴムシートを貼りました。
車の床上に100均の滑り止めマットを敷きまし
た。これで車両が動いてもバッテリーは動きま
せん。25kgもありますし(^▽^;)
2列目の後方に載せているスチールラックに取
付けました。

完全に電源が切れるように100A対応のDCスイッ
チを付けました。

デジタル電圧計・電流計も付けました。
まぁ安物なんで目安ですけどね(^▽^;)
全体はこんな感じです。

作業はだいたい3列目のフロア上に机を置いて
することが多いのでこの位置はコンセントが使
い易いんです♪